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「小手あり!」


まただ……また俺はこいつに負けた。何故勝てない?剣道は幼稚園の頃から毎日欠かさず練習をしていた。
自慢じゃないが周りで俺に勝てる奴はいなかった。中学の頃も全国大会に出たし各高校からスカウトも来た。


「一年桜咲刹那!剣道は初めてですが剣術を少々やってます!よろしくお願いします!」


あいつは俺をあっさり抜かしやがった。
剣術や居合いは剣道と違う。その事を教えてやろうと稽古をつけた。


…………手も足も出なかった。基本の足裁きや打ち方は剣道とは呼べなかったが打突はどれも的確だった。
その後もあいつはメキメキと成長していった。今では高校は愚か大学生でも勝てる奴はいなくなった。


憎かった。強さに、才能に。だから俺は武道大会に出た。何が何でも優勝して見返すために。




結果的に俺は二つ学んだ。

一つは俺なんか只の凡人だった事。世の中には天才がいて俺は天才ではない。中武研の部長に腹を殴られた時そう悟った。

そして二つ目はあいつに勝てない理由だ。予選で負けた俺は観戦に撤することにした。そこで俺は見た。あいつの顔を。


――死を覚悟している。

俺にはわかる。あいつはきっと幼い頃から死と隣り合わせの修業をしてたはずだ。
俺は一度も練習で死を感じたことがない。せいぜいぶっ倒れるくらいだ。


「死ぬほど修業」と「倒れるほど練習」

「殺し合い」と「当てっこ」


差は歴然だった。場数が違う。試合の密度が違う。あいつにとって俺の今までは準備体操……いや、チャンバラごっこ程度のものだろう。
そんな奴をライバル視してた俺はとてつもない馬鹿だ。だから認めよう。あいつは誰よりも強い。



「先輩ありがとうございました!」
「ああ。刹那……高校になったらみんなを引っ張ってくのはお前だ。頼んだよ」
「…………はい」
「せっちゃーん!終わったん?」
「お嬢様!?すいません、お先に失礼します!」



もう一つ理由を見つけた。守りたい人がいるからだ。大切な彼女を守るためにあいつは死に物狂いなんだろう。


「ほないこか、せっちゃん」
「は、はい、お嬢様」
「遅いわよ〜刹那さん」
「まあまあ、部活なんだししょうがないじゃない」
「すいません明日菜さん、早乙女さん……」
「こんなんでは依頼は頼めんな」
「乙女を待たせるとは男として失格でござるよ」
「うるさい!なんでお前らまでいるんだ!」








前言撤回。やはりあいつは認めん!強くてモテモテなんて俺は認めんぞ!


「俺もモテたいなぁ……畜生…………」




おわり

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