赤い夢を見た

自分が血だらけの海に沈んでいる夢。どんなにもがいても抜け出せなくて、何もかも狂ってしまいそうだった。

その時私は手を差し伸べられた。その大きくて温かい手を掴むと私を血の海から引き上げてくれた。

引き上げてくれた××は言った。


「何があっても助けてやる。だから精一杯生きろ。幸せを手に入れろ」


××は絶望と混沌から私を救ってくれた。

けれども××は私の前からいなくなってしまった。血で汚れた私を拭う前に。


血で汚れきった私は極力人を避けた。他人を汚すのが怖かったからだ。

関わりを捨て仕事に徹し、ますます私は汚れていった。やがて孤独感が私を襲った。

そんな時私は温もりに包まれた。彼は私を抱き締めてくれのた。

「私は沢山の血で汚れすぎている。君みたいに綺麗な者は私に触れない方がいい」

嬉しいからこそ私は拒絶する。彼を汚したくないから。しかし彼は関係ないと言わんばかりに答えた。


「最初から汚れている人はいません。だから僕があなたの汚れを洗い流せて見せます」


彼のすべてが綺麗だった。温かく希望に満ちた光。その光が汚れた私を洗い流していく。

体の血は涙と一緒に流れて消えていった。



「おはようございます真名さん。何かいい夢でも見ましたか?ちょっと嬉しそうですね」

「まあ、確かに良い夢だったかな…………ネギ君」

「はい?」

「ありがとう」


私を救い出してくれた××、ありがとう。


私を綺麗にしてくれたネギ先生、ありがとう。


私は今、幸せの海に漂っている。


おわり

戻る