ネギは癌にかかっていた。それもかなり末期の。
「もって…半年だそうです……」
「……そうか」
もし早期発見していれば魔法で完治できたかもしれない。
だがここまでくると癌の進行を遅らせるくらいが限界だった。
「師匠。僕の血を吸ってください」
「……何?」
「いずれ死ぬのなら、僕は師匠の一部となりたいです」
「……遠慮はせんぞ?」
エヴァはゆっくりと近付きネギの首筋に歯を突き立てた。
「最後に……いいですか?」
「何だ?」
「愛してます……エヴァンジェリンさん……」
「……ふん」
冷たくなったネギの唇にそっと口付けを交わす。
「ぼーやのくせに……生意気な………」
夜空を見上げる。何百年と変わらぬはずの満月がぼやけて見えた。
その後、呪いの解けたエヴァは未だ麻帆良の警備をしていた。ネギが愛した麻帆良の地を護るため。
『光の中に生きてみろ』
彼女の運命を変えた者の言葉が頭を過る。
――ナギ、ネギ。私は光の中で生きてるか?
おわり
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