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「出席番号18番龍宮真名、優勝おめでとう」

主催者の男が私に形だけの労いの言葉をかける。
だがそいつの言葉、いや周り音全てが私の耳には入っていなかった。


繰り返し再生されるのはあいつの最期だった……



「やっぱり……真名は強いでござるなぁ……」
「…………すまない」
「謝る……必要はないでござる……勝負に負けたのは拙者の力量不足……」
「違う!そうじゃない!そうじゃ……ないんだ…………」

彼を失って以来もう流すことがないと思っていたはずの涙が頬を伝った。

「このゲームに乗ったことか?なら尚更謝る必要はないでござる……悪いのは主催者でござる……」

楓は柔らかい笑みで私の涙を優しく拭ってくれた。

「人を思うその心があれば充分……後は真名の好きなようにすればいい……」

楓は懐からクナイを取り出すと私に渡してきた。私はそれをしっかりと握り締めた。

「餞別でござる……」
「ありがとう……」
「真名……生きて…………」



教室にいる人数を確認した。主催者一人に兵士十数人。外で待機してるのを合わせれば二十人強。

「今回は特別に天皇陛下からもありがたいお言葉がある。心して聞け」

天皇陛下?好都合だ。こんなゲームを容認した悪を討つチャンスだ。

「君が優勝したのか。おめでとう!よく頑張った!感動した!」
「ありがとうござ……ゲホッ!ゲホッ!」
「おい、大丈夫……」

まず一人目、目の前の天皇陛下とかいう男の首からは綺麗な血が吹き出していた。
咳込んだと見せ掛けて喉に隠していたクナイを取り出したのだ。

「陛下!?全員撃……」

主催者の喉を斬り裂いたと同時に銃弾の嵐が私を襲った。

「……っ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

それでも止まらない。私は兵士から銃を奪い乱射した。
こちらが一発撃つと十発撃ち返される。差は歴然。それでも私は撃ち続けた。

ついに私はその場に倒れた。体は勿論動かない。それでも楓の形見のクナイだけは手放さなかった。


不意にクナイを握ってる手に誰かの手が被さった。

「よく……頑張ったでござるな」
「楓……?」

いつもの笑顔の楓がそこにいた。

「何を驚いておる。真名が拙者の最期を看取ったのだから今度は拙者が真名の最期を看取る番でござろう?」
「……折角みんなを犠牲にしてまで生き残ったのにこんな形で終わらせてすまない」
「言ったでござろう。真名の好きにすればいいと。真名を責めるクラスメイトはいない」
「本当に……そうなのか……?」
「うむ。それに仮にいたとしても拙者が一緒に責任を取るでござる。それでよいな?」
「楓……」

本当に……こいつには一生敵わないな。

「さあ、行こう。みんなが待ってるでござるよ」

差し出された手をしっかりと握った。楓の温もりが身体中に伝わってくる。
それが嬉しくて私は笑った。恐らく今まで生きてきた中で一番の笑顔だろう。


楓とならたとえ地獄だろうと笑っていられる。


「楓……」
「なんでござるか?」




――ありがとう




【出席番号18番 龍宮真名 死亡】
【主催者、天皇陛下、兵士数名 死亡】

【ゲーム終了 優勝者なし】


おわり

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