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「ふぁ〜……なーんか早く目が覚めちゃったな……」
時計を見ると5時前だった。外は少し明るくなり始めている。
「こんな時は……走るか!」
ベットから飛び起きるとあっという間にジャージに着替えた。
「寒そうだからよーく伸ばさないと……」
比較的暖かい室内で柔軟などをする。体操することおよそ10分、体もほぐれ温まったので部屋を出た。


「うおっ!寒っ!」
4月とはいえ明け方はまだまだ寒い。寒さで鼻が痛くなりながらも美空は走り始めた。
最初は慣らすようにゆっくり、徐々にスピードを上げていく。


(やっぱ走るのは気持ちいいねぇ……ん?あれは……)
走り始めて10分程経った頃、前方から見覚えのある陰が走ってきた。
「明日太じゃん。おーい!明日太ー!」
同じクラスメイトの神楽坂明日太。美空の声に気付いたのかこちらに向かってきた。
「あれ、美空じゃん。何してんの?」
「ちょっと早く目が覚めちゃったからランニング。明日太こそ何してんの?」
「見りゃわかんだろ。配達だ配達」
「ふーん……朝からごくろーさん」
「ほんと苦労だよ。それじゃ急いでるから……」
「あ!じゃあ私も付いていっていい?」
「別にいいけど……というか“手伝う”じゃなくて“付いてく”かよ。まあ美空らしいっちゃ美空らしいけどな」


かくして二人は一緒に配達する事になった。朝の散歩のお年寄りや朝練の学生にジロジロ見られたが特に気にしない。
他愛も無い会話をしながら走る。徐々に新聞が減ってき最後の一部をポストに入れると二人は配達屋に戻った。


「毎朝ごくろうさん。ところでそっちのお穣ちゃんは明日太君のコレかい?」
配達屋のおじさんは小指をクイッと突き出した。
「ちち、違いますよ!変な冗談はよしてくださいよ〜」
「ははは!またまた〜いいねぇ青春だね〜」
「し、失礼します!お疲れ様でした!」
「さようなら」
「はいお疲れさん。お穣ちゃんもさようなら」
からかわれた明日太は顔を真っ赤にして逃げるように帰って行った。


「面白いおじさんだったね」
「全然面白くねぇ!!はぁ……余計疲れた」
「じゃあそこの公園で少し休んでこうよ」

美空は明日太の腕を引っ張って公園に連れて行きのベンチに座った。

「あ〜朝の公園ってなんか気持ちいいねぇ……」
「こうやってのんびりすんのは久しぶりだな」
ベンチに座り思いっきり伸びをする美空を見て明日太も新鮮な空気を肺一杯に吸い込んだ。

「喉乾いたな……飲み物買ってくらぁ。お前なににする?」
「え?私はいいよ……なんか悪いし」
「今日お前の誕生日だろ?ジュースの一本くらいは奢ってやるよ」
「え〜誕生日にジュース一本なんてケチ臭いなぁ……」
「うるせぇ!今金がねえんだよ!嫌なら買わねえぞ?」
「ごめんごめん。じゃあポカリで」
明日太はあいよと返事をすると自販機に向かって歩いった。


「私の誕生日覚えてたんだ……」
ちゃんと周りに気をかけてくれる。頭は悪いがそういう優しさが明日太のいい所なんだなぁと美空は思った。
「ほいポカリ」
「ん、ありがと……ねえ明日太」
美空はポカリを一口飲むと明日太に訊ねた。
「何だよ?」
「今日私の誕生日だよね?」
「だから金がねえからジュースで……」
「プレゼントはいいからその代わり……」
「その代わり……?」
ニィッと悪戯っぽく笑う美空に対して明日太は唾を飲み込んだ。


「肩車して」


「はあ?」
美空の願いに明日太は素っ頓狂な声を上げた。
「いつもココネを肩車してるからさ、たまにはされたいなぁって。明日太なら力あるし足速いから、ね?お願い!」
明日太は2、3度頭を掻くとその場にしゃがんだ。
「ったく……今回だけだぞ?」
後ろからなので表情は見えないが耳まで真っ赤だ。それがなんだか可愛くて美空はクスリと笑った。



「おお!結構高いんだね〜。あ、どーでもいいけど変なとこ触んないでね」
「誰が触るか。にしても重いなぁ……お前太ったんじゃ…ぐえっ!!」
明日太の一言にカチンときた美空は思いっきり太股を閉めて首を絞めた。たまらず明日太は手を叩いてギブアップした。


「よし!このまま寮に帰るよ!行けー!」
「はあ!?この格好でか?嫌に決まってんだろ!」
「今日は何の日?」
「……っ!美空の誕生日だよチクショー!しっかり捕まってろ!!」
明日太は猛ダッシュで公園を逃げるように出た。少しでも人に見られたくないととにかく必死で走る。




寮に帰ったらみんななんて言うだろう?明日太が慌てふためく姿が思い浮かぶなぁ。

明日太は今何を思ってるんだろう?なんかんだ言って満更でもなさそうだ。

私は変に凝ったプレゼントよりもこーゆー下らないプレゼントのほうが好きだな。

私の下らないお願いを聞いてくれてありがと。やっぱり明日太は優しいね。



朝の冷たい風を感じながら美空はそう思った。




おわり

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