物心ついた時から私は魔法について教えられていた。でも両親の事は誰も教えてくれない。

周りはみんな家族と楽しそうに遊び、食事をしている。だけど私は家に帰っても独りぼっちだった。

そんな時あなたが現れた。

「無愛想な娘っスねぇ……ほら、食べたらお風呂いくよ。女の子なんだから髪は丁寧に洗わないとね」

友達とも先生とも違う接し方。私の領域に遠慮なく入り込み私を優しく守ってくれる……

これが家族なのだろうか?

「あったり前じゃん!ほら、肩乗りなよ。友達じゃこーゆーのなかなかやってくれないよ?」

肩車をして貰うと猛スピードで走りだした。風を切り裂く感覚がとても気持ち良かった。

「そうだ!あんた私のマスターになりなよ?そしたら困ったときにすぐ呼び出せるじゃん。今度シャークティーに頼んどくよ!」

あの時私は嬉しさの余り言葉が出なかった。ただ黙って頷くことしかできなかった。



「こらシスター美空!待ちなさい!!」

「やっば!ココネ逃げるよ!」


でも今ならはっきりと言える


「ミソラ……」

「ん?なにココネ?」


――ありがとう




おわり

戻る