今日はザジが部活らしいので私は部活を見ていく事にした。
「待たせちゃ悪いから先に帰っていいよ」
と言ってたが一人で帰ってもする事もないし、何よりザジがサーカスやる所を見てみたかった。
ザジは次々とアクロバティックな技を決め、私は素直に驚いた。
(ふふふ、私が見てるからって張り切ってるな?バレバレだぞ?)
さらに複雑な技をこなしフィニッシュを決めたときザジは私に笑顔を向けてきた。
(まったく……あいつは…………って危ねぇ!!)
ザジの後ろにあった鉄棒が倒れてきた。私は咄嗟にザジを突き飛ばした。
安全な場所に突き飛ばし安心感とほぼ同時に激しい痛みと衝撃に襲われた。
薄れていく意識の中に見たのは悲しい顔をしたザジだった。
そんな顔で……見るなよ……こっち……まで………悲しく…………
暗い……寒い……ここは……?力が入らない……
何か液体に浮かんでるような感覚。妙に心地いい。だんだん沈んできた。なんかこのまま溶けてしまいそう。それもいいかな……?
「――!!」
なんだよ。折角人が気持ちよくしてるのに。
「―う!!」
何もかも忘れて……
「ちう!!」
忘れる?何をだ?
「ちう!!」
ザジ?何でいるんだ?すごい辛そうじゃねーか?
「ちうダメ!いなくなっちゃ…!」
……何を忘れようとしてたんだ私は。ザジの事を忘る?そんなの嫌に決まってんだろ?
「お願いちう……!」
忘れたくない!離れたくない!伸びろ私の腕!沈むなよ!
――がしっ
ザジの手だ……あったけーな……馬鹿だなぁ私……この温もりを忘れようとしたなんて……ごめんなザジ
真っ白な部屋。そうか病院か。まああんなのが落ちてきたんだ。当たり前か?
それにしてもなんか胸が重いな……なんだザジか。心配してくれたのか?涙の後が残ってるぞ?
心配すぎて夢の中まで助けにきやがって……私は幸せだな……
そうだ、ご褒美に頭を撫でてやろう。
綺麗な髪だなぁ……お?起きた。おはようザジ……っていきなり抱きつくなよ……
まったく……でも本当にありがとうな。
好きだぜ?ザジ……
おわり
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