×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

「誕生日おめでとう!」
今日は古菲の誕生日という事で放課後に教室で誕生パーティーが行われた。
「みんなありがとアル!」
お祭り好きのこのクラスでは毎年恒例だ。
「しょうがねえから祝ってやるか」
「何故私まで参加しなきゃならんのだ……」
こういうのが苦手な長谷川やエヴァも無理矢理参加させるのも毎年恒例だ。
「これみんなからプレゼント!」
クラスメートから沢山のプレゼントを貰う。これも毎年恒例だ。


だが今年は違った。去年は29個だったプレゼントが今年は28個。
別に古は数に不満があるわけではない。問題は減った理由にある。そのマイナス分というのが……



――超劉音



彼は未来に帰ってしまった。あの時は笑って見送った。彼に心配させないため。自分に大丈夫と言い聞かせるため。
だが一人になってみれば彼との思い出が駆け巡り、その度に涙が頬を伝う。いくら彼女が強くてもまだ15歳の少女である。
しかし今日は折角自分のためにパーティーを開いてくれたのだ。楽しまなくては失礼だと思い彼の事を忘れて今を楽しむ事にした。


やがてパーティーも終わりを迎え始めた。

「よーし!これからいいんちょの部屋で二次会やんぞ!くーふぇも早く行こうぜ!」
「あ、先に行ってていいアル。ワタシは後から行くアルヨ」
「そうか……ちゃんと来いよ!じゃあ先行って準備してようぜ」

ほかのクラスメイトもぞろぞろと教室から出て行きあっという間に古菲一人となった。
誰もいなくなった教室、古は一つ溜息をつくと超の席を見つめる。超とは親友以上の何か特別な存在だった。
その超はもういない。だが必ず会うと約束した時のあの顔は本物だった。それでも……


超の席に座る。こうすると少しだけ超の気持ちがわかる気がした。
「先生の目の前アルな。ここじゃ下手な事できないアルヨ」
そのまま周りを見渡す。これが超が見ていた景色なのかと感傷に浸る。
「後ろが明日太じゃうるさくて大変だたアルネ」
この机で勉強して、休み時間にはこの教室で肉まんを売り歩いて……



――ポタ、ポタ……



「あ、あれ…?机が……ぬ、濡れてるアル…………?」
指で触ってみると水っぽかった。その液体の正体が自分の目から流れていると気付くまで数秒はかかった。
「ああ……うあああ……!」
一度溢れると止まらない。そのまま古は机に突っ伏して声を押し殺して泣いた。
泣いたって会える訳ではない。だが泣かずにはいられない。自然と流れてしまうから。亜k 日が落ちかけた教室で少女のすすり泣く声だけが響いた。




どれくらい泣いただろう。もう出すものも無くなり気分も大分落ち着いてきた。
みんなが二次会の会場で待っている。そう思い立ち上がったとき机に足をぶつけてしまった。



――コトン



何かが落ちた音。恐らく今ぶつかった衝撃で机の中から落ちたのだろう。
「誰のアルか……?」
拾い上げてみるとそれは小さな箱だった。古は悪いと思いつつ持ち主の確認のため仕方なく中を開けた。
中には更に小さな箱と一通の手紙が入っていた。その手紙を読んで古は絶句した。


『もしもコレを古菲以外の者が読んだならこの事は秘密にして欲しい。そしてコレを古菲の誕生日に渡して欲しい』


「超………?」

間違いなく超の筆跡。古は震える指先で中を開き読み始めた。




――古菲へ


 誕生日おめでとう。また一つ未来に近付いたな。ワタシが居なくなっても相変わらずバカやってるか?

 古のいいところはその人一倍元気で素直で優しい所だ。それは幾つになっても変わらないで貰いたい。

 ワタシの未来は悲惨なことになっている。そしてこの時代に来るまでワタシは世の中に少なからず絶望していた。

 だがいざこの時代に来て見ればどうだろう。沢山の仲間達に囲まれワタシはとても楽しかった。

 特に古と一緒にいる時間は特別な時間だったよ。古の笑顔を見るだけでワタシの心は癒された。

 発明の度に実験台にして本当にすまない。今思えば少しでも古と関りたかったのかもしれない。

 超包子を手伝ってくれて本当にありがとう。そしてこれからも五月達を支えてやってほしい。

 ワタシの肉まんは美味しかったか?古の食べてる時の幸せそうな顔は忘れられないよ。

 双剣のプレゼントありがとう。古の師から譲り受けた大切な物、死んでも大切にするよ。

 古、本当にありがとう。いつまでもその笑顔と持ち前の明るさでみんなを幸せにして欲しい。

 誕生日おめでとう。ささやかなプレゼントだが貰ってほしい。


――超より




古は手紙を読み終えるともう一つの箱を開けた。中には髪留めが入っていた。


「ふふ……まったく超は相変わらずアルな……」

古は自分の髪留めをはずした。

「抜け目がなくて本当は誰よりも仲間思いで……」

超から貰った髪留めを付けた。

「悲しむ暇はないアルな。超に頼まれたから……私は沢山笑って強くなるアル!」

超からの手紙を仕舞いこむと古は勢いよく教室を飛び出した。そして一度振り返って呟いた。



「再見!」



そしてまた古は駆け出した。その顔は満面の笑みだった。



『PS.また手合わせ願おう!再見!』




おわり

戻る